2020 . 11 . 15

口周りの手術はセットが適切です!。

8月も終わりに近づき、暑い夏を乗り越えたと思っていたのに、まだまだ残暑が続きます。珍しく時候の挨拶を載せましたが、なんといっても時節柄厳しいムードが漂います。2月中旬から、患者さんが減りました。見直してみたら、何しろそれまでは売り上げの30%以上がインバウンドだったので、渡航制限後はがた減りです。さらに4月以降に緊急事態制限が発令されてからは一般の患者さんも来院を見合わせるようになりました。当院には定期的に来院されるいわゆるリピーターの患者さんも30%くらいいらっしゃいますが、その内の30%くらいの人は来院を見合わせました。ご存知の様に医療機関は自粛対象ではありませんが、何しろクリニック内は人と接触するので、不要不急の美容医療を受けるのを控えたのでしょう。

ところが逆にマスク着用が義務化され、さらにリモートワークで人と対面しない人が増えましたから、メイクをしないどころか、手術を受ける環境が作りやすい状況になりました。特に私は、長年の経験に基づき、当院の美容形成外科手術の中でも、切開縫合等をするダウンタイムのある手術の大部分を担当してきました。また数年来口周りの手術の専門家(ではありません!)のような評判が立ちましたから、4月から今までの手術の半数以上が口周りでした。

実は私も、さすがに就労時間を半分程度に減らす様に図りました。コメディカルスタッフもできるだけ、通勤回数と就労時間を減らす体制にしましたし、他の医師もです。今まで私は週4日の銀座院勤務だったのを、最極期には2日に減らしました。その結果として、この間は、病院に来れば口周りの手術に終始する状態に陥りました。患者さんは今がチャンスとばかりに手術を受けました。有り難い事です。ただしブログ提示を契約すると、定期的に来院して画像をいただく予定を立てなければなりませんから、こちらとしてもさすがに毎週の来院を求めるのは気が引けるので、ブログ提示の症例の割合は少なくなりました。

やっと8月に入り、短い夏休みも重なって、徐々に患者さんが増え始めています。ただし感染症は終息の気配も診られません。一部で云われていた様に夏になれば衰えるはずが、感染症は気温上昇に負けませんでした。そんなことは一部の医師は判っていました。暑いのに当分は、人間だけがマスク着用を義務付けられるでしょう。したがって口周りの手術は、引き続き増加傾向です。ただし来院者数は一気には戻りません。もちろん当然に、インバウンドは復活しません。でもブログ提示の契約に応じてくださる患者さんの割合は増えてきています。まだ私は自粛の延長として週3.5日の勤務ですが、手術が続くとブログを書く時間が少なく、今は溜っています。

とか言っていたら、このブログは術後1週間から書き始めましたので、首相が辞任した後です。インバンウンドがどうなるか?、経済再生(なんとかミクスの延長)の効果はどうなるのか?。多分もう一度厳しくなるのかもしれませんし、全く違う方針になるのかもしれません。今後の趨勢を見守りましょう。でも多分、逆に私の口周りの手術はシェアーとしては減りません。何をさておき、これからも邁進します。私は元気でいなければならないと気を引き締めています。

時候の挨拶から、時節柄の状況を書きましたが、一人一人の患者さん周囲の状況が違うので時節は関係ありません。私は一人一人の患者さんの為に手術プランを立てます。来院時の手術前の状態を、計測も含めて診察して、詳しく把握し、手術デザインを頭の中に銘記しながら、患者さんの社会状況にも合わせて、さらに希望を汲み取りながら、計画していきます。白唇短縮術と口角挙上術を組み合わせるケースは半数以上に上りますが、これも私が押し付けて決めることはありません。症例毎に相談し検討します。本症例は当初から同時施行を求めていらっしゃいました。私が診ていくと、その方がいい結果になると考えられます。だから本症例では適切な手術を施行して好結果を得られるでしょう。魅せていくので楽しみにしてください。

症例は21歳女性。いきなり長いでしょうと云われて測ると、人中部の白唇の長さは18㎜でした。E,Aesthetic-ライン,line(側方から見た鼻尖と頤を結ぶ線)よりも2㎜口唇が前方。その原因は歯槽骨が前突。上顔面(生え際〜眉下)72㎜:中顔面(眉下〜鼻下)60㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)65㎜でした顔面が長いなかで上口唇(白+赤唇)26㎜:下口唇(赤唇〜頤尖)39㎜で黄金比率の5:8よりも上口唇が2㎜長い。したがって上白唇は4㎜切除可能。人中が幅広くやや浅い。Cupidの弓はカーブが明瞭で急峻、つまり口角が下がっている。口唇結節(上赤唇中央の膨らみ)が貧弱。対して両側鼻柱基部の縫合時にそれぞれ1.25㎜寄せる適応がある。

口角は下がる可能性が高いので挙上の適応。内眼角間36㎜:鼻翼幅33㎜:口唇幅45㎜でこれも黄金比率の5:8で計算して両側口角の3㎜拡大が適応。したがって三角関数で計算して口角は45度方向に5㎜移動する適応。

次いでいくつかの点を尋ねられました。エラが張っているのは、下顎角幅100㎜でも咬筋は厚いためでBTXが必要。下顎ラインがもたつくのはJowl Fat が多いのでまず溶解が適すると考えた。

画像を各時点で見比べましょう。まずは術前。

IMG_1922IMG_1923

上に記した様な計測値と白唇&赤唇の形態が画像に反映しています。

IMG_1928IMG_1927E-ラインより口唇がわずかに前です。両顎歯槽が軽度前突ですが、頤はあります。

下にデザイン画。

IMG_1929IMG_1930

上に記した数字にしたがってデザインしました。術中は両側鼻柱基部を内側に寄せて縫合して、人中部からCupidの弓、口唇結節を造りました。下には術直後の画像。

IMG_1276IMG_1277

人中が深く、狭く。Cupidの弓の両側の頂点が狭まり。口唇結節が前を向いて可愛い。両側鼻翼間の白唇が短縮して、口唇交連の上下の比率が黄金化しています。口角は鼻翼下から緩やかに挙がって笑顔に見えます。

IMG_1278IMG_1281術後早期は上口唇を閉じにくいために、下口唇を挙げて口を閉じようとするので、頤が後退している人は梅干しができます。通常数週間で治ります。

術後1週間で半抜糸しました。

IMG_2026IMG_2027

結構腫脹の軽減が早く、内出血も起きませんでした。したがって赤唇と赤唇縁の形態改善も認識できます。

IMG_2028IMG_2031頤の梅干しは目立たなくなり始めました。したがってE-ラインもスッキリし始めました。

丸顔で可愛いタイプなのに、下顔面が相対的に長く、口角が下がり気味で、口が小さくて両顎が突だと顔とのバランスからしておちょぼ口になります。可愛いだけでは野暮ったいのですが、口周りの改善で美的に向上します。 でも、白唇短縮術と口角挙上術の併施が適切な症例を診断する必要があります。本症例はパッと見てしたほうがいいと思ったら、患者さんから申告されました。すると、結果は見事に得られ、画像上も認識できます。典型的に改善度が高い人です。幸いダウンタイムをやり過ごせる社会状況ですが、思いの外軽くて悦ばれています。

術後2週間で全抜糸します。

IMG_2209IMG_2210

先週抜いた鼻の下の傷跡は上の画像ではギザギザしていますが、もう赤いだけとなりました。鼻翼の横の傷跡もよく癒合して本症例では膨らみもありません。

赤唇縁のカーブはさらに唇らしくなり、人中が深く狭く短くなりスッキリした白唇で、赤唇中央が前を向いて可愛い。

口角は可愛いとしか言いようがありません。

IMG_2215IMG_2212IMG_2211

斜位や側面像でも優しい口元が得られ、C−カールも追加されています。E-ラインよりわずかに前にある口唇が主張します。下から診ても傷跡は目立ちません。

術後1ヶ月で画像を戴きました。

IMG_2540IMG_2541

正面像では鼻翼の位置は元に復しています。口角の位置も対称的です。さて私の見立てでは、鼻柱基部を真皮縫合する際に両側共1.25㎜寄せる適応でしたが、人中が深く狭くなって白唇らしい。赤唇縁のCupidの弓の頂点も狭くなり、カーブが綺麗です。赤唇中央の結節は小さく尖り、私がよく言う、キスシーンの唇を造り上げられました。

IMG_2542IMG_2545

斜位像や側面像では、口角の傷跡はもう見えなくなってきました。鼻翼の下の傷跡はまだ赤い線ですが、幅はありません。白くなれば見えなくなります。C−カールが可愛いです。E-ラインとの前後位置も適切です。

術後3ヶ月で完成を観ましょう。

IMG_4212IMG_4213

正面像では傷跡がわずかに幅があります。近接像で見られる様に幅約1㎜です。でも後戻りはありません。また肥厚性瘢痕ではありません。なぜ拡がったのかは不明ですが、患者さんはメイクで隠せるので気にしていないと言ってくださいました。

両側鼻柱基部と人中綾の縫合時に寄せた効果で、人中が深く狭く白唇が短縮しただけでなく3次元的な構造が自然です。赤唇縁のCupidの弓が狭く急になり形がはっきりしました。口唇結節が前を向いてキスしたくなりました。

口角はキュンっと鋭角に挙がって患者さんは尖っているのが好きだそう。術前に要望された通りでよかったです。あたかも微笑んでいる様な口元で笑うのが楽しいそうです。診察中に笑かすと明るくて可愛い。

ただし口角から下赤唇縁への傷跡はまだ拘縮していて自覚的に突っ張るそうです。まだまだもっと柔らぎます。口角挙上術の口唇横軽のサイズは後戻りします。45㎜を51㎜にしたのですが、現在48㎜です。でも挙上効果は後戻りしていません。だから可愛いのです。

IMG_4217IMG_4215斜位像でも側面像でも、優しい印象を呈しています。それはやはりC-カールが強化され、赤唇の露出が増えて口唇結節(上赤唇中央の膨らみ)が前を向いたからです。

可愛くて優しい印象が似合います。傷跡に関してはまだ診ていきたい状態で、改善の余地もありますが、患者さんは特に気にしていないので、気が向いたら再来されるでしょう。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。