2021 . 3 . 22

口周りの手術は硬組織と軟部組織の組み合わせが必要となることが多く、私の手術が最終兵器!。

口周りの手術のための来院患者さんのうち、骨切り術後や歯科矯正中の患者さんの割合はどのくらいでしょう?。半分はないでしょうが、3割近いでしょう。どちら先かといえば、ほとんどは骨切り術後に白唇が伸びたために私に罹ります。逆に、私が口周りの手術をすると両額突出が目立つことになり兼ねないのに、都合によりまず口周りの手術を先行した患者さんも数人いて、やはりその後に骨切り術を受けたとの報告を受けたこともあります。

いずれにしても、口周りは三次元的解析が必要です。ですからいつも私は、正面像でも、側面像でも計測して手術適応とデザインを検討しているのです。ブログにも必ず記載していますよね!。今回はやはり骨切り術後に上白唇が間延びした患者さんです。中身(硬組織)を減らせば軟部組織が余って、しかも硬組織を後退させれば上口唇がストンと垂れて長く見える様になるのは考えてみれば当然です。これまでの患者さんも同じ様な意味で私に到りました。ですから口周りの手術は最終兵器だと提唱しているのです。

ところで顔面骨切り術は難しいのは当たり前です。顔の後ろは脳だし、骨を切る際に顔を切っていいところは限られるから主に口の中から侵入することになり、視野が狭いのです。また、顔面深部の重要な神経や血管は表面から骨に侵入する際に通らなければなりませんが、避けなければならないのは当然です。

ところで、顔面では神経血管の走行が特殊です。四肢や体幹の体表面では幹の神経と動静脈血管は3本が束となって走行しています。対して、顔面では別々です。知覚(感覚)神経は、三叉神経で脳から出てきて顔面骨に開いた孔から木の枝の様に広がります。3点は目の上の眼窩骨縁の中心と目の下の上顎骨と下顎骨の前から4番目の歯の下です。運動神経は顔面神経ですが、脳から耳の下の孔に出てきて、前方に向かって5本の枝に分かれた後に細かい繊維になり、顔面表情筋の裏側から筋に接合していきます。血管の一方である動脈は外頚動脈からエラの前を通って口角の横から目頭に向かう幹から枝分かれします。他の側頭動脈や顔動脈の枝と繋がりますが、どれも太く気おつけなければなりません。静脈は別に走行しています。

医学的なことはさておき、上に挙げた様に骨切り術は、解剖学を熟知していないと幾つかの合併症を起こし得る難しい手術なのです。実は本症例は見ての通りに起こしています。画像上も見て取れます。でもだから、骨切り術後の形態的改善が患者さんに取っては時期的に重要事項なのです。逆に今がチャンスなのです。

症例は49歳女性。いきなり「長いでしょお?。」と言って来院されました。私早速測りますが、上白唇中央部(人中部:鼻柱基部〜赤唇縁Cupidの弓の陥凹点)の長さは19㎜。上顔面(生え際〜眉下)67㎜:中顔面(眉下〜鼻下)55㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)67㎜で下顔面が長い。でも上口唇(白+赤)26㎜:下口唇(赤〜頤尖)41㎜で上下は約5:8の黄金比率。下顔面を短くする為に上白唇4㎜切除が可能。人中浅い。弓だるい。結節あるが下向き。鼻柱基部の縫合時内側に1.5㎜ずつ寄せて造る適応。

Le-FortⅠ骨切り術と下顎文節骨切り術を大学病院口腔外科で昨年10月受けた。現在術後矯正中。デバイスは痛いかも知れません。秋にプレート除去予定。外鼻に2017年SでI型プロテーシス。これらの手術の結果上白唇が長いのが目立つ様になった由。ただでさえ長い白唇が長くなったのなら短縮の適応です。

口角は画像で見られるように、加齢で下がった。骨切りの影響も考えられる。内眼角間31㎜:鼻翼幅34㎜:口唇幅47㎜で口角挙上術は45度方向に5㎜挙げる適応。

鼻尖耳介軟骨移植2枚は口周りの3ヶ月以降。鼻孔縁下制術はその後。

画像は各方向別に術前からデザイン、術直後、術後1週間の抜糸後。

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正面像ではもう結果が見えています。

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近接画像で診ても術後1週間で傷跡は目立たなくなってきています。

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右斜位像では術後1週間で鼻の下が短くなったのがよく判ります。当たり前です。

IMG_7145IMG_7115IMG_7427左側面像ではC−カールになり始めました。

POD#7に鼻翼横以外を抜糸。内出血無い。腫脹も通常より軽い。

術後2週間で全抜糸しました。

IMG_7605IMG_7610IMG_7607IMG_7609歯科矯正の時期について訊かれましたが、「まだ待って下さい。」としか言えませんでした。

下に術後1ヶ月です。

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口を閉める際に無駄な力が入るのは矯正器具の影響と骨切り後の神経ダメージの影響が加わっています。いい機会ですから私からも色々説明して差し上げました。次回術後3ヶ月ではどれだけ改善されていますでしょう?。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。