2023 . 3 . 31

前後葉性眼瞼下垂です。一重瞼を二重瞼するべきです。

切らない眼瞼下垂手術は後葉性眼瞼下垂に対する手術ですが、先天性前葉性眼瞼下垂である一重瞼を二重瞼に変える重瞼術埋没法に併施すると、キラキラして目力が倍増します。また、加齢により皮膚が伸びて後天性前葉性眼瞼下垂が進行した際も、眉下切開術で前葉性を治して、伴った加齢性の後天性後葉性眼瞼下垂を、切らない方法で同時に治すことも約半数に併施します。

ところが本症例は、術後に眼瞼挙筋の筋力が伝わりやすくしたのに、力を入れようとしない時期があり、結果が見えるのが遷延しました。何故でしょう?。疼痛は大したことないはずですが、精神的に耐性に欠けるのでしょうか?。判りません。

誰でも覚醒時には、眼瞼は開いています。正常では脳から電気信号が出続けて、精気のある顔、活動的な外貌を呈しています。眼瞼挙筋に動眼神経から信号が入っている間は、筋が収縮して開きます。開く信号は交感神経の賦活にも影響されます。例えば怒ると目がカッと開くのはその為です。逆に眠い時は副交感神経が優位になり目の開きは落ちます。

自律神経系とは、交感神経と副交感神経のバランスの事で、単独の神経ではありません。読んで字の如く、脳が自律的に勝手に指令するのであって、考えた結果の随意的な行動ではありません。環境や体内時計に影響されて、信号が発せられます。今回の専門分野である眼瞼挙筋は自律神経系からの神経繊維と、脳神経の一系である動眼神経が支配します。顔は意識的に動かせますが、表情は感情が自律的に動かせます。今私は意識的に口を尖らせました。でも嫌な気持ちになった時に無意識に口を尖らせていると家人によく指摘されます。眼瞼も同様で、覚醒時は自律的に適当な大きさで開いていますが、自律神経系の働きで無意識に大小が変わっています。

この様に眼瞼の手術は機能的です。構造を治すというよりも開閉を司る構造を変える、機能的な治療です。突然変異遺伝子が発現した先天性前葉性眼瞼下垂である一重瞼は、開瞼の機能的障害を呈しています。同時に眼瞼挙筋への信号も強くならない人が多いのです。一生懸命開いても皮が邪魔して意味がないから、自律神経系が眼瞼挙筋を収縮させて開くのを諦めてしまうからです。仕方ないので、代償的に前頭筋収縮(眉を挙げる)への信号を発します。”開け開け”と念じますから、交感神経も高揚して色々面倒な症状を呈する様にもなります。つまり、先天性眼瞼下垂である一重瞼の患者さんには後葉性眼瞼下垂も伴う為に、基本的に切らない眼瞼下垂手術が適応です。

症例は20歳男性。昨年末に来院されて、「眼瞼下垂ですよね?。治してください。」と要望されました。診察すると、LF,Levator Function=挙筋筋力を測る為に開閉時の滑動距離を測る方法で、一重瞼の人では皮膚を持ち上げて測ると14㎜と正常な筋力はあるが、自律的には眼瞼で開こうとしないで、眉を挙げる前頭筋に信号が回っています。適時コンタクトレンズ装用していて、後天性後葉性眼瞼下垂も生じている可能性がある。一重瞼を二重瞼に変えることで前葉性眼瞼下垂を解消知ると、眼瞼挙筋が皮膚も持ち上げなければならなくなるので、眼瞼挙筋を強化するべきと考えられた。シミュレーションも兼ねてフェニレフリンテストをしてから、ブジーで二重瞼をシミュレーションしてみたら、患者さんは「こうして欲しい。」と嬉しそうな表情でした。

ただし一重瞼の遺伝子には、内眼角間距離41㎜:眼裂横径26㎜:角膜中心間距離64㎜と蒙古襞の弧状な被さりと拘縮を伴っていて、本来はZ-形成法による目頭切開(切除でない)を併施した方が自然な形態と機能を造り上げられると説明した。

その結果費用とスケデュールの関係で逡巡して、2回ほど延期せざるを得なかった。目頭は後日に回すことにして、ならば重瞼線は末広がり型が適切と説明した。ブジーを当ててラインを決める際に、蒙古襞の下ギリギリに当てると自然なカーブになりました。

画像は主に両眼瞼部を観ていきましょう。

上二葉は術前。下方視ではほとんど角膜が露出しません。

術直後はちゃんと手術したのに怖がって開いてくれませんでした。

術後1週間でも下方視、伏し目がちで写っています。開瞼の改善度は不明です。

術後2週間では正面視していますが、何故か左前頭筋が収縮して眉が挙がって、開瞼が揃っていません。多分開瞼も重瞼ラインも適切ですが・・!?、それも判りません。したがってまだブログを公開しません。

術後1ヶ月は来院されませんでした。遅れて来院されたのが、術後6週間でした。突然来院されてブログを書けると楽しみにしていたら・・。3日前に二重瞼が消失したそうです。「エエ〜!。」と言いながら、”だから来てくれたのかなあ?”とは呟かないで、「直ぐに掛け直してあげます。」だって”そうじゃないとブログに載せられないじゃない?!”と半分困っていたのが”これで上手くできれば載せられる”と半ば喜んで、「早いね!。もちろんコスト無しです。」と当日施行します。

なぜ早期に外れたのか、やはり重度の前葉性眼瞼下垂が原因です。眼窩脂肪ヘルニアも伴っているいわゆる腫れぼったい瞼です。ご覧のように前頭筋に力を入れて眉を上げないと視界が得られない程の重症度です。

近接画像でも明確に前葉性眼瞼下垂です。蒙古襞が被さって拘縮しているのも影響しています。先天性前葉性眼瞼下垂に蒙古襞が伴うのは、遺伝子が同座だからです。

近接画像で見るまでもなく重瞼線は消失していますが、糸のかかっていた点は判ります。そこにブジーを当てるとラインは判ります。

直ちにMT法。挙筋法による重瞼術埋没法を施行しました。ご覧のように開瞼は、初回のNILT法の結果が保たれています。患者さんは大喜びでした。

切らない眼瞼下垂手術では、眼瞼結膜側で挙筋腱膜とミューラー筋を瞼板に縫い合わせます。多くの症例ではその効果である開瞼強化は保たれます。その糸を瞼板上部の挙筋から皮膚側に出して結紮します。重瞼の引き込みは挙筋力が強い程よく引き込まれますが、前葉性眼瞼下垂に伴う要因が外れ易さを起こします。

今回患者さんはお喜びでしたが、もう一度外れたら切開法が得な事。やはり蒙古襞の拘縮解消のためのZ-形成が適応な事は強調しました。

当院では厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。

症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えます。NILT法は消費税込みで22万円。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。二重瞼が6ヶ月以内に外れたら、テクニカルエラーの可能性が高いのでコストフリーです。