2016 . 4 . 21

視界不良で可哀そう!、だったのがいつもの眼頭切開=蒙古襞による拘縮解除術と、眼瞼下垂切開手術で人生変わったよ!

今回の症例は17歳、女性。典型的なPuffy eyeです。開瞼不良という機能障害が見られるわけですから、だから可哀そうなのです。もちろん症例の患者さんは、幼少期から開瞼不良というか目が小さいのは自覚(もちろん他覚的にも)していた。挙筋機能は12mmとやや低下。フェニレフリンテストでは、開瞼の強化が見られない。眼裂横径:24mm、内眼角間距離38mmで蒙古襞が目頭を隠し、内側の白目の面積が外側の白目の半分しか見えない。いつものやつ!。一辺4mmのZ-形成術による眼頭切開を蒙古襞による拘縮解除術 を兼ねて施行し、眼瞼下垂症については、重瞼術が必須で脂肪を除去するおよび、挙筋を強化するLT法を追加しました。Puffy eyeの原因である眼窩脂肪は焼灼によって減量しました。術前術直後の画像を比較すれば、充分に目的を達しているのがお判りだと思います。ひとつひとつ違いを説明します。

眼の横幅が小さかったのが普通になっています。白目の露出が内側と外側のサイズがほぼ同面積になりました。まだ遠いのですが、これは眼球の位置が遠いからです(角膜【黒目】中心間距離が65mm【標準は60mm】と目が離れています。)。これはアジア人の特徴ではなく、標準偏差が大きい数字です。

瞼の作る窓の内側が、丸く水かき上になっていたのが、普通の眼頭にできました。術前では蒙古襞が邪魔して蒙古襞から上眼瞼にかけて引き下げられていましたが、術後はちゃんと皮膚が挙がってます。眼頭切開の主目的はここにあります。

上眼瞼は、5.5mmのラインで皮膚切除を2mmしました。原則的に若年者では皮膚の余剰がないのですが、本症例ではPuffy eyeで内容量が多いため、皮膚も若くして伸びていますから、わずかに切除しました。それに取った方がしっかり重瞼が入ります。

挙筋機能=眼瞼滑動距離は12mmと正常下限ですが、皮膚が被さっているために挙筋を使わないで生きてきたので、力を入れられないので、強化しておく必要があります。切らない眼瞼下垂手術のLT法を併用します。術前は皮膚が被さっているために瞼縁のサイズが不明でしたが、術後は開いています。ところがよくあることですが、術直後は瞼縁のカーブが乱れています。眼瞼の裏側(眼瞼結膜)から挙筋を縫い縮めるのですが、瞼板にかかった糸が強すぎる部位は筋力で緩み、弱いところはそのままとなるので、数週間の経過で、時間とともに揃ってきます。

重瞼は広めを希望しましたが、あくまでも末広型としました。この蒙古襞では、たとえ治しても平行型は似合いません。丁度いい幅の二重瞼だと思います。もちろん術直後でも腫脹によって広くなっています。術前のデザインからして、約2/3の幅になるでしょう。深さは周囲が腫れているからあとは定着するかの問題です。癒着するまでの3ヶ月は注意を要します。

上記の治療効果は形態と機能のバランスをお示ししました。

経過については、お断りしておきますが、術翌日は当日より絶対に腫れます。ダウンタイムが無い手術はあり得ません。程度の問題です。人体は48時間は、すべての反応が亢進します。腫脹、内出血、筋力低下などなどですが、正常の経過なら、必ず48時間がピークです。

そのため、これまでこのブログで、機会あるたびに週単位での経過を提示してきました。時間的経過はみなさんもお判りだと思います。問題は程度です。本症例は、いくつかの要因によって程度が強いです。しかし若年者は治りも早いです。吸収の程度は、血行の良否に左右されます。成長期にある若年者は組織動員のために血行がいいので、腫脹も強い代わりに治癒過程も促進される傾向にあります。

それでは経過画像をご覧ください。まずは術前両側眼瞼部と左眼近接像

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下図が術直後画像。よく開いています。

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下図は一週間後

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下図は2週間後です。

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第一に開瞼がさらに良い。そりゃそうです。術直後は疲れて目を開いてくれないし、48時間までは腫れるからです。第二に糸が無い。当たり前ですが、だからメイクしていいのです。そのため創跡はあっても隠せます。皆さんそうしています。第三に腫脹や内出血はほぼほぼ消失して来ています。予定通り48時間をピークにどんどん聴いて来たとの事です。特に若年者では早いのも予想した通りでした。

とにかく眼瞼の機能(開く程度)と形態(美容面)が正常化しました。角膜(黒目)の見えるサイズが格段にアップしました。計測していませんが、写真から見ると、黒目が上から2㎜隠れて、下は接しているので正常です。機能的には数字が証明します。美容的にもキラりと見えます。

そこで、この患者さんはいきなり、涙袋をしたくなりました。そういえば当初からしたいといっていたのです。私はそこを押し止めて、「その目もとに涙袋は合わない、あり得ない。」と言って眼瞼の手術を先行したのです。一重瞼の人には涙袋は存在しません。逆に、涙袋は二重まぶたの人はあり得ます。二重まぶたの構造と涙袋の構造は相似形だからです。言ってみれば涙袋は下眼瞼の二重まぶたなのです。また、白人は二重まぶたですから、若年者には大抵涙袋があります。残念ながら、白人は皮膚が緩いので、加齢と共に涙袋が目袋になります。

カラコンもして、黒目そのものも大きく見せて下さいました。上下の隠れる幅も丁度いいと思います。そこで私は気がつきました。黒目は標準11㎜ですが、それでも上が3㎜隠れていたら黒目は8㎜しか見えないのに対して、目の開きを2㎜挙げたら、14㎜のカラコンを入れても上が2.5㎜しか隠れないで黒目が10㎜露出する。しかも眼瞼下垂患者に合併する三白眼も解消する。だから笑顔に見える。切らない眼瞼下垂手術=NILT法を別名黒目整形と呼ぶのは、そういう意味だったのです。もう一つ気がついたのは、開瞼が拡大すると、つまり黒目が沢山出ると、表情による落差が大きくなる。笑ったときと目を大きく開いたときの差が大きくなる。一重瞼の時はいつも目を細めている様に見えるので更に笑ったりして目を細めると、目が線になって黒めが見えなくなり、視線が不明となります。つまりコミュニケーション不良になります。わっかりました。開瞼をアップすると、表情が豊かになり、コミュニケーションがスムースになるから、可愛い。「目は口程にものを言う。」とはこういう事です。心が通じ合うから可愛い。

今回は、眼瞼下垂手術+目頭拘縮解除術で目を正常化した直後に涙袋を形成しました。患者さんは大変お悦び、可愛さ2倍って感じ。ねっ笑顔に見えるでしょ?、優し目もとで、優しい表情。可愛いというのは、好ましいという意味です。みんなに好かれますよ!。次回はメイクで更に可愛く出て欲しいものです。