眼瞼の診療の続きですが、さて、軽度の先天性眼瞼下垂に後天性眼瞼下垂が併発:この場合が難しいのです。
そこでもう一度開瞼という動作を機序=メカニズムから、説明しながら詳述したいと思います。下の図は、上眼瞼の断面図です。説明によく使われます。
開瞼の仕組みを順に説明すると、まず意識下では、起きて行動するためには目を開けていたいので、脳が信号を出して、動眼神経を電気信号が伝わり、上眼瞼挙筋;上図のLevator muscleを収縮させようとします。筋は後ろは骨に付いていますから、収縮すると前が引き込まれます。前方は挙筋腱膜;Levator aponeurosisとミューラー筋;Muller`s muscleの2枚に分れます。腱膜は瞼板=まぶたの縁の前に、ミューラー筋は上に付き、
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2015年もまぶたの診療に邁進致します。Ⅴ
これまで、疾病としての機序(=解剖的仕組み)と診断法について記述してきました。現在私達を訪れる患者さんの分類として、3種類に分けて考えて治療法を提示していきます。前回後天性眼瞼下垂の説明を始めたら、長くなってしまったので、一度手を止めました。今回は残りの2種類の説明です。
先天性眼瞼下垂:上眼瞼挙筋の筋力が弱い状態です。前回の後天性腱膜性眼瞼下垂では、解剖学的構造の変化が主体でしたから、構造の修復だけで治すことができ結果が得られる症例ばかりでした。対して先天性眼瞼下垂では、筋力の低下という生理学的異常が本体ですから、構造の変化という手術療法で得られる結果は、確実性に欠けます。外科療法の限界ではあります。しかし先天性眼瞼下垂症に対する内科的治療法は、リハビリ治療も含め存在していません。外
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2015年もまぶたの診療に邁進致します。Ⅳ
今年に入ってから、まぶた、眼瞼の話を始めたのですが、どんどん広い話になり、眼瞼形成術一般んの話もしましたが、もう一度狭義の眼瞼下垂症手術に話を戻して、原因と病態、治療法の適応について、私達の目指す患者さんのためになる知識と経験に基づいた治療方針を提示していきます。
これまで、疾病としての機序(=解剖的仕組み)と診断法について記述してきました。現在私達を訪れる患者さんの分類として、3種類に分けて考えて治療法を提示していきます。
後天性眼瞼下垂:腱膜性眼瞼下垂ともいいます。上眼瞼挙筋腱膜の伸展(=腱膜のコラーゲンの密度低下)、脆弱(=コラーゲンの繊維断裂)、停止部の離断(=腱膜が瞼板に付着する部分のコラーゲン=膠質、つまり糊が脆い)などの解剖学的変化結果。原因は慢性的な物理的外力と考
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2015年もまぶたの診療に邁進致します。Ⅱ
前回、眼瞼形成外科の話題について記載したつもりでしたが、よく見たら、医学的な知識はほとんどない、らしくない内容でした。あえていえば、眼瞼形成外科:Ophthalmic Plastic surgery という言葉を初出させたことが、アカデミックかといえましたかね。
今回は、先天性眼瞼下垂症と、後天性(腱膜性)眼瞼下垂症の相違や鑑別を述べようかと思ったのですが、初出ではなかったのですね。そこで、前回の補足(むしろ今回が本論と言えるかも知れません)をしたいと思います。
まぶたの問題は、機能と形態のバランスを考えなければ取り扱えません。私はよく言うのですが、よい形態はよい機能に基づき、よい機能はよい形態を呈すると言えます。
解り易く言えば、ぱっちりした目元はきれいですし、魅力的な目
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2015年もまぶたの診療に邁進致します。Ⅰ
昨年中の一時期、サーバーがダウンしていて、アクセス制限されていたことをお詫びいたします。年末には回復しましたが、年末年始はクリニックが休業していましたので、本年の更新は本日からの再開となりました。っという訳で、遅くなりましたが、「あけましておめでとうございます。」
久しぶりに記事を書くことになりましたので、何をテーマに使用かと考えていたのですが、やはり”まぶた”から書き始めたいと思います。というのも、年末はまぶたの手術に邁進しまくったからです。術前の説明や手術そのものの手技の進行中の確認や、術後の経過観察中に、患者さんとのやり取りをしていて、「まだ医学的知識が浸透していないなあ!」と切に感じたからです。
ただし、手術がぎっしり入っていて、あまりにも忙しかったので、症例を提示してい
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