2020 . 7 . 3

口周りはトータルビューティーで。顔面部品の比率も考慮して。上から来て下は頤で出来上がりか?。

実に3週間もブログを更新していませんでした。そりゃあそうです。所謂モニター患者さんは少なくなります。ブログを見れば判る様に、術後定期的に来院してもらい写真を頂きますが、やはり外出機会を減らしたい要請があるため、こちらも余りモニターを薦めない様にしています。実は今まで罹ってきた患者さんが今回もモニターでと言うなら、こちらもお願いし易いのです。

昨今の感染症に対する対策では外出自粛要請されていますが、医療者は当然除外されています。美容医療がメインの当院でも、感染対策を怠らずにいれば縮小ながらも開業してきました。特に私は、顔面の手術が大部分を占めるため、マスクを義務化されている現今では、口周りの手術を受けた後に隠せるために、手術の希望者が続いています。患者さんは休業時期だからスケデュールが立てやすいからでもあります。私は念の為通勤回数を減らすために、手術日を減らしていますから、私の銀座院の週に3日の手術枠はほとんど埋まっています。

でも医療機関だからではなくマスクが義務付けられていて、それこそ院内感染が起きたらマスクで予防していない医療従事者は自宅待機になり、場合によっては病院も休業を指示されかねないので、私たちも診療中は(手術時は従前からです.)マスクをします。ところが、口周りの診察をする際には、私は念入りに計測するのでマスクは外してもらいます。私だけがマスクして診察するのは申し訳ない気がして、外そうとも思うのですが、かなり近寄って、しかも私は計測値を口頭で数えて覚えるので、飛沫を飛ばすとお互い不安なのでマスクをしています。もちろん私は現在健康です。

本症例は口周りの手術を計画を立てて遂行してきました。ご覧になって判る様に上白唇と口角をスッキリさせ、口の上は鼻を高くしてきましたが、口の下の頤も当初から念頭にありました。その間に眼瞼もキラキラさせました。口周りはバランスを取ってきました。口周りの手術の中でも、頤はダウンタイムが長い方でタイミング的に現在なら受けやすいと思います。

頤形成術はプロテーシス挿入が定式です。問題はデザインが重要なのに、配慮に欠ける美容屋が多いことと、手術法によって微妙に結果が左右されるのですが、勘違い美容屋がいるので長期的結果に影響することです。

術式はこれまでも説明してきましたが、私は父の時代から少なくても35年間の経験からいろいろな改良を加え、骨膜上に入れることが定式化しています。長期的に骨に喰い込まない様にするためです。糸を引き出し中心化するのは鼻と同じです。口腔内の創は神秘縫合ができませんが、筋と 骨膜を縫合すればプロテーシスの移動や露出は防げます。

デザインはプロテーシスの形態です。バリエーションがあり、術中にも計測しながらプロテーシスに改良を加えます。今回はその画像でも説明します。

症例は25歳女性。E-ラインより口唇が2㎜前にあります。顔面縦比率は上顔面(生際〜眉下)55㎜:中顔面(眉下〜鼻下)60㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)72㎜と下が長く、その中では上口唇(白+赤)26㎜:下口唇(赤〜頤尖)46㎜で5:8の黄金比率よりも下が長いです。視て判る様に既に上白口唇短縮術と口角挙上術と鼻尖形成術をさせてもらいました。当然に下口唇から下はより長く見え、後退しているのが目立ちます。結局口周りはバランスを取って治したくなる典型的な症例です。そして正面像から側面像まで3次元的に評価しなければ綺麗になりません。何故口から治してきたのかと言えば、ダウンタイムの差もありますが、上下比から気になるからです。鼻は立体的です。次いで頤は更に立体的で、縦比も前傾度も、頤部下顎縁のカーブも考慮しなければなりません。だから周りができてから検討に入りました。こうして手術に到りました。

デザインを決定します。E-ラインから計算して前に5㎜。頤縁に水平線がある所謂男性的な顎。長さは当然に長くしてはいけない。角張ったアゴを三角形のプロテーシスで頤尖を丸くし、長くしない為には下顎骨縁を越えて剥離しない。もちろんプロテーシスの下端に糸をかけ、頤先端の引き出して固定する。

画像は各方向の術前、術直後、術後1週間、術後2週間の比較を提示します。

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正面像では、立体視でないので解りにくいかもしれませんが、口が出た感じから口が出ていない感じへの変化が判ります。上左図が術前、上右図が術直後で麻酔が切れていないので口が閉じにくいです。頤中央に糸が着いています。中心化を図るためです。触れても見ても、適切な位置にあります。この後テープ固定します。下左図は術後1週間。下顎縁をテープで下から支えて、腫れを増加しない様にします。下右図は術後2週間でテープを剥がしてから撮りました。頤先端の糸も抜きました。もうピーク時の半分くらいまで腫脹が減少していますが、逆に言えばまだまだ短くなります。前方への腫脹に因る膨大はかなり引いて見えます。

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下顎部全体像を見ましょう。術前は頤中央部に梅干しが見えます。E-lineより口が前にあると口を閉じる際に頤筋群が働き梅干しができると言われています。上右図は術直後で、下右図は術後2週間のテープなしの画。下顎全体像で見ると、術直後より術後の方が腫れて太くなっているのが見て取れます。長さもです。あくまでも腫脹です。でも口元のスッキリ感は見て判ります。

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プロテーシスですが、上右図に幾つかのモデルを載せます。大中小で厚さ7㎜〜3㎜まで用意しました。上左図の二個のうち左が厚さ5㎜。両サイドを削って男性的な頤を尖らせる様に改良しました。孔は組織が侵入して固定性を高める為です。下端の切れ込みは頤尖のカーブにフィットする様に自由度を高める目的です。この様に幾つかの厚さを用意し、患者さんにポケットを作った後で調整していきます。両サイドは下顎骨縁のすぐ上ですが、縁から最低1㎝に神経があるのでそれより下に入れることもあります。両側4番の歯牙より外側です。本症例では頤の幅を狭くするので神経は見ていません。

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右斜位像では口元の雰囲気が判ります。上左図の術前とでは口が出ています。術直後から前には腫脹してきて、頤が前突しすぎていますが、術後2週間では腫脹が半量くらいになって適度な前突になっています。今後まだ変遷します。なおテープは術後1ヶ月までは適時貼り替えてもらいます。通常1ヶ月までは腫脹が減り続けますから。なお下赤唇のすぐ下の頤唇溝に貼るテープは二つの意味があります。プロテーシスが上に移動しない防護が一つ。もう一つ頤唇溝が欲しいからです。頤が後退している人は相対的に頤唇溝が浅く、極端な人はないか、下赤唇の直下がもっこり膨らんでいます。もごもご口です。患者さんはゴボグチと表現しました。頤プロテーシスを入れれば上端の上に頤唇溝が出来るはずですが、念のため抑え込んで作成を助けます。テープを取った際に溝が見えますよね?!。父は昔、「頤唇溝は乙女チックの象徴だよ!。」とよく言っていました。見た目に締まりがあり奥ゆかしい口元という意味です。

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側面像でも下顎全体を見ますと、下顎角から頤の距離が変わったのが判ります。5㎜厚です。でも腫脹と局所麻酔の量でプラスされています。

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口元の側面像ではEsthetic-line,イーラインと口の位置関係が明らかに診て取れます。長さは徐々に減ってきて前突が適度になってきました。頤唇溝も明瞭で乙女チックです。

今後腫脹が引いていくとまだ変遷します。楽しみです。

なんでもそうですが、侵襲の後48時間までは反応して炎症所見が増強します。炎症所見とは疼痛、腫脹、熱感、発赤ですが、深い手術では前二者しか顕在化しません。腫脹が長引くのがこの手術の特徴です。腫れは浸出液です。手術による侵襲に対して創傷治癒機転が働き、癒合を図るために材料を動員する必要があり、周囲の組織内の毛細血管が拡張して、網の目状の組織間に体液が滲み出します。これが滲出液です。外から抑え込めば組織内に溜まる量を少なくできるはずです。なおプロテーシスは生体親和性はなく身体に反応しないのですが、あくまでも異物です。固形物なので身体を圧迫しますから、反応があります。よって炎症反応も増強します。数週間後には、周囲をコラーゲンの膜(カプセル,capsule)で包み込み、体内でない様に認識すると異物反応が軽快していきます。そうであっても腫脹の液は重力で下に垂れるので、腫脹が消失するまでは頤が長くなっています。

今回まず、術後2週間までの経過画像を載せました。次回術後1ヶ月でも変わります。お楽しみに!。

こうして術後1ヶ月が参りました。画像を並べます。

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早速今後の検討会になりました。頤が前に出てE-ラインは一直線上に鼻尖ー口唇ー頤が並び、口元はスッキリしています。でもまだ何となく、下顔面がモタついています。患者さんも気にしています。本来E-ラインよりも口が出ていると言うことは、上歯槽骨が前傾しているからです。したがってだから、歯槽骨の上=鼻唇溝の上端の三角形が深い。これが中顔面をペタッと見せていますから相対的に下顔面が前に出て見せます。上左の画像がこの印象を呈しています。もう一ついつも言うJowlが年齢的に若干多い。上右の画像が下顔面のVolumeを示します。

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こうして斜位像を見ると、口角の横にもたつき、鼻唇溝上三角の外側にたるみとVolumeが見られます。側面像でも判ります。ただしE-ラインは一直線上です。上右図で下顎部(下顔面)全体を見ると、決して骨格的にエラが張っているのではありませんが、軟部組織がもたついています。まだ術後1ヶ月ですが、患者さんといろいろ検討しました。

現時点での検討結果は、鼻唇溝プロテーシスの適応がある。Malar fatが多いので鼻唇溝が目立つ。Jowl fatを溶かして引く。切っても可。まだまだ診る機会がありますから今後をお楽しみに!

術後3ヶ月で来院されました。

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いつも明るく写ってくださいます。それもこれも、これまでの治療に満足されているからですが、今回は頤下の膨らみを気にされています。

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これまで施行してきた手術について確認しました。全般的に満足されています。でもご覧のように、頤下に二重顎ではないにしても、脂肪があります。いずれかは除去したいとのこと。少し先になりますとのこと。その際にもこれまでの画像に加えさせてね。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っています。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。頤プロテーシス挿入術は18万円+消費税です。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。